タバコを毎日吸っていると、吸わない人に比べて、平均5年は早くがんになり、緑黄色野菜を食べない人は、毎日食べている人に比べると10年以上も早くがんになるといわれています。
また、がんを発生させやすい物質として、魚の焦げとか湿ったピーナッツ、あるいはタバコの煙とか、ラジウム、クロム、鉄、さらにはウイルスとか放射線もこの物質に含まれます。ただし、発がん物質は、人間がたまたま動物実験かがん患者を通して見つけ出した物質にすぎません。
発がん物質は、見つけ出そうとすればいくらでも見つけられるもので、人間はたんにその一部分をとらえて〝発がん物質〟といっているにすぎないのです。
ここでよく考えてみていただきたいのですが、われわれ人間の身体をつくっている構成物質をずっと分析していけば、その中には人体にとって毒といわれる銅や鉛などが検出されるという事実です。しかし、人間は、そんな毒物を体内に保有していることに、あまり関心をもちません。それでも、病気になる人とならない人が出てきます。
同じ人間であり、含有している毒物にもさほど差がないにもかかわらず、なぜ、病気になる人とならない人の差が出てくるのでしょうか。この事実は、とりもなおさず本質的には食べ物が病気の原因ではないという証拠にほかなりません。
最近は、無農薬野菜とか自然食品がブームになっていますが、これらを食すること自体はたいへん好ましいことです。自然に近い形の食品であればあるほど、宇宙のエネルギーがたくさん含まれているので身体にいいのです。しかし、食事を変えたからといって病気にかからないとはかぎらないから、やっかいなのです。
病気の根本原因は、生命体そのものの〝
ただ、このような発がん物質はどこにでも存在しています。ですから、いくら自然食品を口にしようと、無農薬野菜を口にしていようと、発がん物質は、毎日、人間の身体の中に次々と侵入しているのです。
卓越した日本がん研究のリーダーであるガン研究所名誉所長、菅野晴夫医学博士は、「健康な人といえども、そのほとんどの人はなんらかのガンを持っている。それは〝微小ガン〟とか〝潜伏ガン〟とも呼ぶべきガンなのである。ガンの症状があらわれるのは、その体内にある微小ガンのうちのごく一部のものが顕在化したものと推定される。ガンの再発も同様のことで推察できる」と述べています。
また、老齢者胃がんの権威である東京都養老院付属病院外科医、山城守也氏は、「私はここ15年で胃の病気を3,000例以上診ていますが、胃に病変があるなしにかかわらず、丹念に解剖してみると、その12パーセントに微小ガンを含めてガンがありました。微小ガンというものは、これを発見しようとしてみなければ発見できないものですから、私は65歳以上の老人はほとんどすべての人に微小ガンがあると思っています。
胃ガンは臨床的にわかる段階になるには約10年の経過が必要です。つまり潜伏期間10年、微小ガンの間はガンであってもわからないし、つかまえることはできません。つかまえるまでに成長するには10年かかります」と述べています。
菅野、山城両医師ともに、だれもが体内に微小がんという形のがん細胞をもっていると主張しているのです。
ということは、1億総がん保有者ということになります。
しかし、1億人ががん患者かというとそうではありませんね。それは、がん発生過程は多段階であるからなのです。
菅野、山城両医師ともに、だれもが体内に微小がんという形のがん細胞をもっていると主張しているのは、だれもが第一段階「イニシエーション(初発)」の状態にあるということなのです。
よって、外見上の特別な変化はないので、がんにかかっている状態とはいえず、なんの問題もないのです。