医学博士で医療問題アナリストである吉野敏明氏は、食の大切さについて以下のように述べています。
人の体は、吸った空気、飲んだ水、食べたものによってつくられています。
今の日本は空気がとてもきれいで、水は世界に10か国しかない「水道の水が飲める国」に数えられるほどおいしいです。そうなるとあとは食べ物ですね。ほとんどの成人病や感染症は、我々が食べているものに関係しています。そして、ほとんどの病気は食べ物が原因で引き起こされます。
現代人が病気になるのは「食が信仰であることを忘れたから」だと考えています。日本では、食事のマナーとして最初に「いただきます」、最後に「ごちそうさま」と言います。
動物を殺すというだけではなく、植物にも命があります。それらをいただくから、「いただきます」です。
「ごちそうさま」を、漢字で「御馳走様」と書きますが、魚を釣ったり、家畜を飼ったり、それらを買ってきたり、料理をしたりで、みんな食事の準備に走りまわったおかげで食事ができましたということを感謝して言っているのです。
また、仏壇のご先祖様や神棚の神様にご飯をお供えします。「先に食べたい」とか「おなかいっぱい食べたい」とかではなくて、ご先祖様や神様にあげる分だけ余計に作るわけです。
こうして信仰心によって食欲を制御していたのです。
しかし、現代は、おなかがすいたらいつでも好きなものを好きなだけ食べます。そうすることで「食」が「信仰」から「欲」に堕落してしまったのです。そして時間がないからハンバーガーを歩きながら食べて出勤したりします。
これでは「ごちそうさま」が言えません。こうしたことから病気が増えるのです。
終戦直後にはGHQが、米国産の主要生産物である小麦の市場拡大のために、日本人の主食を米からパンへ転換しました。すると小麦の消費量とあわせて、がんも増えていきました。アメリカはさらに肉、乳製品、卵の摂取を奨励しました。その後、国内にはコンビニが乱立し、カップラーメンに代表される添加物いっぱいの加工食品が市場にあふれ、やはりがんが増えてきました。こうした歴史的な事実を積み上げていくことで、がんの原因がおのずとわかるはずです。