最近、どこの病院に行っても診察の順番を待つ人であふれています。人気の食堂に行列ができているのはほほえましい光景ともいえますが、なぜ、こんなに病人が多いのでしょうか。
医学技術が飛躍的に進歩し、細菌性の感染病であるチフスやコレラも根絶されているいま、なぜそんなに病人が多いのでしょうか。医者も病院も増えたいま、むしろ病人が減っていくのが当然ではないでしょうか。ところが、どこの病院に行ってもたくさんの患者がいます。
現実は、逆なのです。病人は減るどころかむしろ増えているのです。
そして、その病気をつくっているのは、ほかならぬあなたであることに気づいていただきたいのです。
いま増えつつある病気として、がんをはじめ、胃かいよう、糖尿病、肝炎、高血圧、狭心症、脳卒中、神経症、心身症……など挙げるときりがないくらいです。
しかし、世間にはなぜこれほどまでに多くの病気があふれているのでしょうか。人間が本来、大自然から与えられたあたりまえの生活を続けていれば、とうていかからないような病気ばかりです。
問題なのは環境や食事を改善したりすることで、ある程度防げるはずの病気が、いっこうに減らないという事実です。どうしてこういう時代になったのでしょうか。
さきほど病気をつくっているのはあなただと指摘しました。そうなのです。現代人が本来の〝人間らしい〟生き方、生活をしていないからなのです。
本来の自然な生き方をせず、休みのないストレス、強度の緊張、不安などに日夜おののいて生きているからなのです。ですから、かかるはずのない、捕まえられるはずのない病気にいとも簡単に捕まっているのです。
突然、病気に襲われたのではなく、自分のほうから病気を呼びこんでしまっているのです。つまり、どんな病気も〝自分〟に原因があるのです。
これに対して「病気は外からやってくる」という反論が出てくるでしょう。たしかに、腸チフスとか食中毒、あるいはコレラなどいわゆる細菌性の病気は、サルファ剤や抗生物質の発見でほぼ撲滅されました。また、全世界で大流行し、いまだにその影響が続いている新型コロナウイルスも、ワクチンの開発でかなり収束してきています。
しかし、現代では、「病気は外からやってくるもの」ではなくて、「内から起こる」ものにとって代わっているのです。いかに細菌性、ウイルス性のものであっても、その人の生きざまや考え方ひとつで、やっかいな病気になって背負いこむことになってしまうのです。生き方や生活環境が悪ければ、本来ならかからなくてもすむ病気にまでかかってしまうのです。
これが類の法則で定められた病気と人との関わり方であり、自分の生き方しだいで病気になってしまうという原理原則がここにあるのです。
私たちはどこかが痛いと休息をとります。それはそこを治そうとする大自然からの警告なのです。暴飲暴食をしたから、胃が痛みを知らせて、夕食を控えておこうというふうに、胃を治そうとする意識が働くのです。
この場合は、自然を無視した不摂生が根本原因なのですから、どんな高価な薬よりも、生活のリズムを正常化することこそ特効薬なのです。
こうした不健康な状態は、たいへんな苦痛には違いありませんが、見方を変えてみますと、これはまさにわれわれの反自然的生活に対する、大自然からの警告であるということができます。ですから、胃が痛んだり、頭痛がするなどしたら、いたずらに嘆くのではなく、これをありがたい忠告と受け止め、日常生活の健全化に専念するほうがいいのです。
本来、病気は自力で治ることになっているのです。外科の手術にしても、医者は手術後に糸で縫って化膿しないような手当てをしてくれますが、傷口が治るのは自力以外にはないのです。
病気になって熱が出るということは、たいへん結構なことなのです。熱が出ることでバランスがとれるのです。食欲がなかったら食べないほうがいい、無理やり食べようと考えてはいけません。食べないことによって体の回復をさせているのです。そのほうが治りが早いのです。すべて大自然の法則です。