◇がんが治るのは奇跡ではない

がんは必要だから発生する

人間はだれでも体内に「微小がん」をもっていると説明してきましたが、考え方によっては、がん細胞が人間にとって必要なものであるという証拠もあるのです。

大自然は「がん」を人間に必要なものとして与えているのです。だからがんに関して感謝こそすれ、恐れる必要はないのです。

人間は病気を人間にとって不要なものと考えがちですが、それは大きな間違いなのです。ことにがんに関していえば、人間がもっとも憎むべき文字通りの「がん」であるといいますが、人間に与えられたものは、それが病気であろうとがんであろうと、人間にとっては必要な試練であり、気づきなのです。必要のないものを大自然が人間に与えるはずがないのです。

医学者でも、その必要性を説いてくれています。

生物学者である千島喜久男氏は「がんは血液の汚れを知らせるシグナルだ」というのです。そして、「がん腫瘍」はシグナルであると同時に、血液の汚れを必死で食い止めようとする作業を続けている「浄化装置」でもあるというのです。

ところが、現代医学はこのがん腫瘍を人間にとってのガンだと目の敵にしています。すなわち、ガンは切ってしまえばいいと思っているし、化学薬品や放射線でたたきつぶしてしまえとも思っています。

しかし、このように頭の中で考えていること自体が、現代医学の大きな間違いなのです。

がんに対する考え方でもっとも必要なもの……それは、がんよりも、がんをつくっている背景そのものではないでしょうか。つまり、「血液の汚れ」こそガンなのです。血液が汚れてきたために、身体の一番敏感なところや、抵抗力の弱い場所にがんという腫瘍ができるのです。だから、この「がん腫瘍」は人間の身体が血液の汚れに対処するという目的でつくった有益な浄化装置だと考えられるのです。

最近、フランスの学者ががん腫瘍の中に抗毒素ができて、それが血液中に分泌されていることを発見しました。「今までは、がん腫瘍は悪い細胞の寄せ集まりだ、と考えられているが、実はそうではありません。生体防衛反応の産物なのです。身体を自衛するためにつくらなければならなかったのです。そして、身体にとって有力な味方となる装置だととらえています」と主張する医者もいます。

ですから、がん腫瘍という存在は、悪だと考えてはいけないのです。血液が汚れてきたための自衛手段なのですから、むしろ何かいい役割を果たしているはずなのです。生きている生体の反応とはそうしたものなのです。

もし、血液が汚れているのにがんが身体につくられなければどうなるのか……敗血症という病気になり、集中治療しないと3~4日のうちに死ぬそうです。

50年以上前までは、敗血症という病気にかかる人は多くいました。そして、この敗血症が少なくなると同時にがんが急激に増えてきたといいます。身体ががんという浄化装置を覚えたために人々は生き長らえるようになりました。こうなると、あれだけ嫌われているがんが、人命にとっては救世主だという見方もできるのです。